野山の植物を楽しむ 元宇品での植物観察
ツチトリモチに会いたい
2021.12.02
元宇品には、やはり『野山の植物を楽しむ』で2007.12.13に訪れているので、14年ぶりに来たことになる。その時、ツチトリモチを観察したことはよく覚えているが、ほかにどんな植物に出会ったのかはあまり思い出さない。歳月の長さを思う。
今回は、ツチトリモチの他に、海岸線に生育する樹木を中心に観察することが出来た。季節がら開花しているものは少なく興味がわきづらいのは否めないが、それでもなんとなく聞き覚えのある樹木の冬姿を、視点を据えてじっくり観察することが出来てよかったと思う。
この季節だからこ゚そ、日朝先生の話を思い出したり提示いただいた資料を読んだり、また他の図鑑等にも目を通したりしながら、ゆっくりのんびりと編集してみたいと思っている。
キョウチクトウ科 キョウチクトウ属
常緑広葉樹の低木。葉は3枚が輪生。葉身は細長く光沢のある長楕円形。両端がとがり厚い。花期は6~9月。花弁は基部が筒状でその先端で平らに開いて五弁に分かれ、プロペラ状に曲がる。花色は淡紅色。園芸種に、紅、黄、白色など多数があり、八重咲種もある。日本では適切な花粉媒介者かせなく、受粉に成功して果実が実ることはごくまれである。果実は長い袋状で、熟すると縦に割れ、中からは長い褐色の綿毛を持った種子が出てくる。強い毒性があり、花、葉、枝、根、果実すべての部分と、周辺の土壌にも含まれる。腐葉土にしても1年間は毒性が残る。
トベラ科 トベラ属
岩手県と新潟県以南の本州、四国、九州に分布する。主に海岸に自生する。常緑広葉樹の低木~小高木。幹は下の方から枝を広げて茂るため、見えなくなることも多い。樹皮は灰褐色で小さな皮目が多く、太いものでも裂け目や割れ目はない。若い枝は緑色で短毛が生えている。葉は互生し、枝の先に集まって付く。倒卵形で、主脈は白っぽく、葉全体はつやのある緑色。周辺部がやや内に巻くように、葉全体が反っている。花期は4~6月。雌雄異株。芳香のある白い5弁の花を付ける。
つる性多年草。全国の海岸~山野に生える。全体に軟毛が密生し、葉柄で他物にからみながら延びる。葉は互生で、長さ3〜10㎝の卵形。下部の葉は深い切れ込みがある。花期は8〜9月。花は集散花序に多数付く。花冠は白色で径1㎝、深く5裂し、裂片はそり返る。雄しべは5個、花糸は太く短い。葯は黄色。
落葉小高木。高さは5mまで。葉は狭い倒卵形~長楕円形。基部は心形か円形で、葉質は薄くて草質。表面は滑らかか短い毛が立っていてざらつく。海岸では厚い葉のものもある。雌雄異株で、花期は4〜5月。果嚢は9末~10月に完熟し、径10~13㎜で、白い粉を吹いたような濃紫青色になる。写真では雌雄(判別)不明。
クワ科 イチジク属
↑枝先に葉痕と大きな緑色をした冬芽と小さな花芽が確認できる。
ブナ科 コナラ属
常緑広葉樹の低木~高木。樹形はごつごつして、樹皮は黒褐色で縦方向のひび割れが入る。葉は互生し枝先には輪生状に付く。長さ3~6㎝の倒卵形で、やや表側に盛り上がり、縁には波状の鋸歯がある。葉身は革質でやや厚くて硬く、表面は濃緑色でやや光沢があり、裏面は淡緑色。花期は4~5月。雌雄同株で、黄色い雄花は枝の下部から穂状に垂れ下がり、黄緑色の雌花は楕円形で、上部の葉の付け根に1~2個付く。堅果(ドングリ)は長さ2㎝で楕円形。翌年の10月になると褐色に熟し生食できる。冬芽は狭卵形で赤味を帯びた多数の芽鱗に覆われており、枝の先に数個付いて、葉の付け根には側芽が付く。材は緻密で極めて硬い。比重が大きく、水に入れると沈む。
ヤマノイモ科 ヤマノイモ属
蔓性の多年草。山野の林縁に生える。雌雄異株。茎は淡緑色で他物に絡みつき、地上部は1年で枯れる。茎は長く伸びて、まばらに枝分かれをする。葉は対生、まれに互生し、葉身は長卵~三角状披針形で、基部が凹んだ細長いハート形、長い葉柄で茎に付く。花期は夏。葉腋から3~5本の細長い穂状の花序を出して白い花を付ける。雄花の花序は直立し、雌花の花序は垂れ下がる。果実は蒴果て平たく、円形の大きな3枚の陵(翼)がある。それぞれの陵が中に種子を1個含んでいて、熟すと壁が剥がれて、中から扁平な種子が出る。雌株は種子のほかに、葉腋に発生する球状の芽である零余子(むかご)を付けて栄養繁殖する。地下には円柱状で多肉質の担根体(芋)が1本あり、自然薯(じねんじょ)ともよばれている。
キク科 センダングサ属
荒れ地や河原にしばしば群生。葉は下部では対生、上部では互生。中部の葉は長さ12〜19㎝あり、3全裂または羽状に全裂する。頂小葉の先端は細長くとがる。花期は9〜11月。上部の枝先に黄色の頭花を付ける。頭花には舌状花はなく(時に黄色で短い舌状花)、両性の筒状花だけが集まる。花冠の先は5裂し刺がある(ひっつき虫)。総苞片はへら形で先はとがり、7〜8個が1列に並ぶ。痩果はやや平たい線形で、4稜があり、先端には下向きの刺のある冠毛が3〜4個ある。
フサシダ科 カニクサ属
シダ類では珍しい蔓植物。長くのぼる蔓は1枚の葉で、本当の茎は地下にあり横に這って先端から一枚の葉を地上に伸ばす。株が小さいうちは葉は短く、次第に長い葉を出すようになり、長いものは2mを越える。主軸沿いに間隔を開けて羽片が左右にほぼ対をなして出る。小葉には胞子のつくものとつかないものの分化が見られ、羽片ごとに胞子葉と栄養葉が分かれているような感じである。ただし中間的なものも交じる。なぜか話題になることも少ない。
暖地の海岸に生育。常緑広葉樹の高木。樹高は2~3m。上部に枝葉が茂り、中間から下部は幹だけになって、全体に傘を広げたような樹形。葉は濃緑で光沢がある倒卵形の単葉で、枝先に互生する。葉身は厚みのある皮質で、長さ6 12㎝。3本の葉脈が目立つ。変異が多く若樹の間は3~5深裂するが、生長とともに全縁と2~3浅裂の葉が1株の中に混在するようになる。
花期は6~7月。枝先に伸びた散形花序には、黄緑色の小さな花が多数付き、両性花と雄花が混じって咲く。果実は液果で、長さ1㎝、径7~8㎜の広楕円形~球形。先端に花柱が残り、長さ4~5㎝の果柄が付く。初め黄緑色だが、11~12月に黒紫色に熟す。
ウコギ科 カクレミノ属
樹液中に漆の成分と同じウルシオールを含むため、かぶれることがある。
葉は互生。葉身は長さ4〜7㎝の楕円形で、両端とも尖る。成木の葉は全縁。革質で両面無毛。表面は濃緑色、裏面は色が薄く、側脈が不明瞭。葉柄は紫色を帯び、長さ5~15㎜。花期は4月。前年枝の葉腋のごく短い枝に黄緑色の小さな花を束生する。雄花は2〜15個、雌花は1〜4個ずつ集まる。花弁は4個、楕円形で長さ3㎜。萼片は広い三角形で4個。雄しべは4個。雄花は完全な雄しべ4個と退化した雌しべがある。果実は核果。径1㎝の球形で、11〜12月に赤色に熟す。中には核が4個入っている。冬芽は、円錐形で長さ2〜3㎜。花芽は前年枝の葉腋に付く。※写真、葉柄の色が気になる。
モチノキ科 モチノキ属
海岸や暖地の山地に自生。常緑広葉樹の中高木。雌雄異株。 樹皮は灰白色でなめらか。本年枝は無毛、緑色で鈍い稜がある。
ハイノキ科 ハイノキ属
海岸近くの照葉樹林内に生え、高さ10m、径10〜30㎝。樹皮は黒褐色でなめらか。枝は緑色で稜があり、無毛。葉は互生。葉柄は長さ7〜15㎜。葉身は長さ4〜7㎝の楕円~長楕円形。先はやや鈍く、基部はくさび形。縁は全縁または先の方に波状の浅い鋸歯。革質で表面は光沢があり、主脈が隆起する。両面とも無毛。花期は3~4月。前年枝の葉腋にきわめて短い穂状花序をだし、香りのよい白い小さな花を付ける。花柄は短く、花序の軸も短いので、葉腋に花が密集して付く。花冠は径8㎜で5深裂する。雄しべは多数あり、花冠よりも長くよく目立つ。雌しべは1個で、花柱は細長く柱頭は頭状。萼は5裂し萼片は卵円形。果実は核果。楕円形で長さ1〜1.5㎝。先端に萼片が残る。10〜12月に紫黒色に熟す。核は楕円形で長さ5㎜。冬芽の葉芽は細長く、先端はとがり、多少彎曲し緑色で無毛。
バラ科 シャリンバイ属
海岸近くに分布するが、庭木や公園樹として植栽されることも多い。高さは1〜4m。若い枝には褐色の軟毛がある。小枝や葉は輪生状に出る。葉は互生。葉身は長さ4〜8㎝の長楕円〜倒卵形。革質で光沢があり、ふちには浅い鋸歯がまばらにある。先端は尖るものとまるいものがある。花期は5月。枝先に円錐花序をだし、径1〜1.5㎝の白色の花を多数付ける。花弁は長さ1㎝、幅5〜8㎜の倒卵形、先端は丸くしばしば歯牙がある。萼筒は漏斗形、萼片は長さ4〜5㎜の卵状三角形で先は尖る。萼や花序には褐色の軟毛が密生する。果実はナシ状果。径1㎝の球形で、10〜11月に黒紫色に熟す。表面は白い粉をかぶる。中には径7〜8㎜の種子が1個入っている。
山野の林内や林縁。樹皮は黒褐色。節から先端が吸盤になった巻きひげを延ばし、樹木や岩盤をよじ登る。本年枝は赤褐〜黄褐色で無毛。葉は2形あり、➀花のつく短枝の葉は大きく、15㎝の長い葉柄がある。葉身は5〜15㎝の広卵形で、上部は3裂し裂片の先は鋭く尖り、縁にはまばらな鋸歯がある。基部は深い心形。質はやや厚くほぼ無毛。(画面にはない) ➁花のつかない長枝の葉は小さく、葉柄も短い。切れ込みのないものから1〜3裂するもの、3小葉のものが混じる。(写真) 花期は6〜7月。短枝から長さ3〜6㎝の集散花序を出し、黄緑色の小さな花を多数付ける。花は径2〜3㎜。花弁と雄しべは5個。
ブドウ科 ツタ属
果実は液果。径5〜7㎜の球形で、秋には藍黒色に熟す。表面には白い粉がつく。種子は長さ4〜5㎜の倒卵形。
冬芽は長さ1〜2㎜の円錐形。芽鱗は褐色で3〜5個。葉痕はほぼ円形。
常緑広葉樹。温帯の山地に生える。木の高さ15~25m。樹皮は滑らかで、ふつう割れ目は出来ない。葉身は5~10㎝の楕円状卵~披針形で、スダジイに似るが小さくて薄い。葉は全縁か波状の鋸歯が少数ある。葉表は深緑色。葉裏はやや光沢のある淡褐~銀褐色。花期は5~6月。雌雄同株で、雄花序は花序の下から上向きに出て、甘い強い香りを発し虫を呼び寄せる。堅果は翌年の秋に成熟する。径1㎝と小さくて丸い堅果は、初め穀斗に包まれている。スダジイと同様に生食できる。
ブナ科 シイ属
名は、実がスダジイに似て円いことによる。小さいので、別名【コジイ】。
湿潤な傾斜地を好むが環境適応力は広く、成長は早い。常緑性の高木で、高さは15~20m。樹皮は灰黒色で薄片になり剥がれ落ちる。葉は互生し、8~45㎜の葉柄がある。葉身は5~9㎝で、長楕円~倒卵状披針形。枝先に車輪状に集まって付く。先は少し突出するが鈍頭。葉表は緑色で、葉裏は灰(粉)白色。花期は8~9月。雌雄異株で葉腋に淡黄色の花が多数集まって咲く。花序は無柄。液果は径7㎜で、翌年の秋に赤熟する。果柄は肥厚する。
クスノキ科 ハマビワ属
名は、成木の樹皮が剥がれ、樹木が鹿の子模様になることによる。こんな幼木の時、葉だけで同定するのは難しい。
常緑性の低木~小高木。高さ5~10、まれに15m。成長は遅く、寿命は長い。樹皮はなめらかで灰色地に灰白色の模様があり、時に細かな突起がまばらに出る。枝はよく分かれる。冬芽は線状楕円形で先端はとがり、円頭の鱗片が折り重なる。鱗片の外側には細かい伏せた毛がある。鱗片は枝が伸びると脱落する。葉は互生し、長さ8㎝の長楕円形で、先端は尖り基部は広いくさび形。縁には細かい鋸歯が並ぶ。葉質は厚くて表面は濃緑色で艶がある。裏面はやや色が薄い緑色。表裏面ともに無毛。花期は2~4月だが、早咲きのものは冬さなかに咲く。花は紅色の5弁花で、枝の先に1個ずつ下向きに咲かせる。
ツバキ科 ツバキ属
花弁は長さ3~5㎝で筒状に咲き、平らには開かない。1枚ごとに独立した離弁花だが、5枚の花弁と多くの花糸の下半分が合着した筒形になっていて、散るときは花全体がまとまって落花する。果実は球形で、9~10月に熟し、実が割れて中から2~3個の黒褐色の種子が出てくる。
原産地は台湾、中国南部。日本には江戸時代中期に渡来した。庭木、街路樹、公園樹として利用される。落葉高木。高さは20m。原産地では40~60m。葉は互生し、カエデ科の対生と区別できる。葉身は7~15㎝で、掌状に3裂し裂片の先は長い尾状となり、縁には尾状突端で終わる鋸歯がある。新葉時には葉柄や裏面に毛があるが、やがて脱落して少なくなる。若枝には褐色の毛が多い。秋に紅葉や黄葉する。雌雄同株。花は雌雄とも球形で花被がなくあまり目立たない。4月には新葉が出るとともに咲く。果実は秋、褐色で刺のある球状の集合果が成熟する。中国では独特の香りのある樹脂を「楓香脂」として薬用にする。
フウ科 フウ属
フウは楓の漢字名を当てているが、『日本では古来より「 楓 」の字を「 カエデ 」と読むが、本来の楓はこのフウのことを指しいて、カエデを表す漢字は「 槭 」であった。』ということらしい。だから、『この木はカエデ科ではないが楓だよ』ということでよいのかしら。なんだかわけが分からない。
山野や沿海の山地の林縁や林下などに生える。茎や枝に褐色の曲がった短毛が密生する。刺のあるものとないものがある。葉は互生。葉身は5〜10㎝の円形で浅く3〜5裂する。縁には細かい歯牙状の鋸歯がある。表面には毛は少ないが、裏面の脈上や葉柄には短毛が多い。托葉は長さ1〜1.5㎝の披針形で羽状に細かく裂ける。花期は9~10月。枝先や葉腋に白い花が5〜10個集まって咲く。花弁は長さ7〜8㎜、萼片とほぼ同長。萼の外面や花柄には淡褐色の短毛が密生する。
バラ科 キイチゴ属
果実は集合果。径1㎝の球形で、11月〜翌1月に赤く熟す。
日本固有種。本州紀伊半島から四国、九州、南西諸島までの山地の森林内に生育する。(三重、和歌山、広島のものは人為的に持ち込まれてものと考えられている)寄生植物で宿主であるハイノキ属のクロキやハイノキの根を抱くようにして地下に塊状の茎があり、秋の終わりに花茎が地上に顔を出す。花茎は太くて短く高さ6~12㎝、多数の鱗片状の葉に包まれる。花期は10〜11月。花茎も鱗片も花序と同様に真っ赤である。その先端に楕円形の花序が付く。
花序は大きさが鶏卵ほどで、表面は細かい粒状のもので覆われて赤い。この粒子は花ではなく、花穂の表面から突出した球状の構造である。これが互いにほぼ密着するように並んでおり、花序の外見はこれが並んだ状態が見えるだけである。花はその突起の間の隙間に並んで生じ、外からは見えない。花はすべて雌花で、単純な形の雌しべのみからなる。雌雄異株であるが、雄株は発見されたことがない。したがって種子は単為生殖によって作られる。
ツチトリモチ科 ツチトリモチ属
名は、根茎から鳥糯(とりもち)を取ったことによる。別名【ヤマデラボウズ(山寺坊主)】
三枚目の写真は、ツチトリモチの根元を少し掘って撮影したもの。塊状の茎が見える。
ユズリハ科 ユズリハ属
常緑高木で高さは10m。(ヒメとは言い難く、名はユズリハに似て葉が小さいということによる。)海岸付近に多い。葉は互生し、今年枝の先に束生する。葉身は6~12㎝の楕円形で革質、先は鋭形。若い時には鋸歯があることも。葉表は深緑色。葉裏は緑白色で細脈まで明瞭。側脈はユズリハより少なく8~10対。葉柄は長く4~5㎝で、ふつう緑色。花期は5~6月。雌雄異株。前年枝の葉腋から3~4㎝の総状花序。核果は長さ8~9㎜。黒藍色で、花序は垂れ下がらない。
サクラソウ科 タイミンタチバナ属
旧 ヤブコウジ科 ツルマンリョウ属
海岸近くの常緑樹林。高さは6~7mでまれに10m。葉は互生。緑色で光沢はない。葉身は5~12㎝、狭い倒卵~線状長楕円形で先端は丸く基部はせばまる。全縁。革質でしなやか。側脈は不明瞭で、主脈は葉裏に隆起する。雌雄異株。花期は3~4月。葉腋に淡緑~淡黄色の花を3~10個束生する。花は5裂する。果期は10~11月。果実は5~7㎜で黒紫色に熟す。
丘陵地林内の木陰に自生。常緑の小低木。細くて長い地下茎が横に這って、先は直立する地上茎になる。地上の茎は、高さは10~30㎝。葉は茎の上部に集まって3~4枚輪生し、深緑色で光沢があり、長さ6~13㎝の長楕円~狭楕円形で、5~8対の葉脈があり、先端はとがり基部はくさび形、縁には低く細かい鋸歯がある。葉柄は7~13㎜。花期は7~8月。花序は葉腋や鱗片葉の腋に付き、2~5個の花を下向きに付ける。花は白~帯紅色。両性花で径6~㎜。花冠は5裂する。花柄の長さは7~10㎜。花は葉陰に隠れるため、果実ほど目立たない。果実は核果で、径5~6㎜の球形となり、10~11月に赤色に熟す。1個の大型の種子が入る。葉陰に隠れるように下向きに付くが、赤く艶やかな果実はよく目立つ。
関東南部以西の常緑樹林内に生育する。常緑で高さ1m。茎はやや細く、枝はよく伸び徐々に倒れ伏す。葉は互生し濃い緑色で光沢がある。葉身は長さ5~17㎝で楕円形~長楕円形。まばらに低い鋸歯か全縁。側脈は5~8対あって鋸歯に入る。花期は4~6月。秋のうちに、葉腋に1~2㎝の花序を出して蕾を付け冬を越す。花冠は長さ5㎜の筒状で、黄白~乳白色。果実は秋に稔り、径5㎜の球形。乳白色で液果。宿存する萼片に上部まで包まれる。果実の先端には花柱が残る。果実の付いた個体には蕾は付かないのだろうか。
サクラソウ科 イズセンリョウ属
写真➀を撮影して、また近くで➁➂を撮影。「あれ、➀はイズセンリョウではないかも」と思ってもみたが、やっと納得。蕾を付けてから果実が熟すまでに1年以上を要するということらしい。
暖地の林内に生育。庭木にも。常緑広葉樹の小低木。茎は直立してまばらに分枝し、高さは 50~150㎝。樹皮は滑らかで緑色。葉は対生し革質・やや肉厚で光沢がある。葉身は6~15㎝の長楕円~卵状楕円形。表裏とも無毛、先端は鋭く尖り、基部はくさび形、縁には先が細く尖る鋸歯がある。葉脈は羽状、側脈は5 - 10対。葉柄は長さ0.5~2㎝。葉柄の基部は広がってく茎を包む。托葉は小さく、線~短剣形、長さ 1.5㎜。
センリョウ科 センリョウ属
花期は6~7月。枝先に2~3回分枝する長さ 2~5㎝のまばらに花がついた穂状花序を付ける。花は両性花、花被を欠き、楕円~先が尖った三角形で、長さ ㎜ の苞の腋に付く。果実は核果で、径5~7㎜の球形。12 - 1月に赤く熟す。果実が黄色いものもあり、キミノセンリョウと呼ばれる。
暖地に生育。高さは20m以上の大木になる。葉は葉身が6~10㎝で光沢があり、全縁で、白っぽい三行脈が目立つ。葉裏の脈の基部には膨れたダニ室(写真↑)がある。花期は5~6月。葉腋から円錐花序を出し、小さな黄緑色の花をまばらに付ける。果実は液果で径8㎜の球形、黒紫色(写真➁)に熟す。
人里近くに多い。かつては天然樟脳を採取するため、日本各地に植林されてきたが、合成樟脳ができるようになってからは、植林樹が放置されて野生化している。(九州以北のものは野生のものかは定かではない)寺や神社の境内にもよく植えられ、大木が見られ、ご神木として人々の信仰の対象とされるものもある。
クスノキ科 クスノキ属
ニッケイ属とするものもある。
花(果)柄の先が膨らんでいるので、雌株の雌果嚢と思われる。食べておいしいとされる。
黒々と熟しているが、果柄の先も細く、雄株の雄果嚢と思われる。食べてもおいしくないと言われる。しかし、雄株は黒く熟さないと言われているのだが・・・・・。困った。
東北南部以南の暖地の山野に生育する。樹高は10~15m。幹は直立し、樹皮は紫褐~暗褐色。新枝には黄褐色の絹毛が密生。葉は互生、1箇所から出て、枝先に集まる。葉身は8~18㎝の長楕円状披針形。葉柄は長く2~3㎝。全縁で三行脈が目立ち、葉裏は白っぽい。若葉は黄褐色の毛で覆われてよく目立つ。花期は10~11月。雌雄異株で、花は淡黄色の散形花序で枝の少し下方・葉腋に多数付ける。果実は液果で長さ12~15㎜の楕円状球形で、翌年秋に赤く熟す。
ツバキ科 ツバキ属
花期は厳冬を除いて11~翌3、4月。本種は早咲き。
観察の移動中に、いつかの記憶から「オカメザサかな」と言葉を思い出しながら1枚だけ撮影した。オカメザサは、見かけが小さいのでササの名を持つが、新芽にある鞘がすぐに剥がれるタケの特徴を持つものである。日本原産だが、野生種は希少である。確証がないので同定は控える。
キョウチクトウ科 テイカカズラ属
蔓性常緑低木。有毒植物。茎から気根を出して他のものに固着する。茎の表面には多数の気根が出た跡が残るので、樹皮には多数の突起がある。大きくなると、幹は径数㎝に達する。成木になると樹皮から離れて枝を空中に伸ばし、葉は大きく黄緑色になる。葉は長さ1~数㎝。質感は、一般に幼木の方が革状で光沢がある。幼木では深緑色で、葉脈に沿って白い斑紋が入ることが多い。茎や葉を切ると白い乳液が出る(有毒)。花期は6月。花は房状の花序が垂れ下がった所に付く。花弁の基部は筒状で、先端は5裂して広がる。それぞれの裂片は先端が断ち切られて丸まったような三角形で、それぞれにわずかにねじれ、全体としてプロペラ状になる。花ははじめ白く、次第に淡黄色になり、ジャスミンに似た芳香がある。果実は細長い袋果で、2個が対になってぶら下がり、熟すると縦に裂け目を生じて種子を散布する。種子にはとても長く白い綿毛があり、風で運ばれる。
関東以西の山野の林縁に生える。常緑の蔓性木本。樹皮はコルク層が発達して太い。新枝は赤褐色を帯び、皮をはぐと粘る。葉は互生。長さ5〜13㎝の長楕円~卵形。縁にまばらに鋸歯がある。両面とも無毛。葉柄は長さ1㎝。雌雄異株または同株。花期は8月。葉腋に径1.5㎝の黄白色の花を付ける。花被片は8〜17個、すべて花弁状。雄花の雄しべは球状に付く。雌花の雌しべも球状に付き、白っぽい花柱が伸びる。
果実は集合果、径2〜3㎝の球形、11月に赤く熟す。種子は長さ5mmの腎臓形で、1個の液果に2〜5個入っている。表面はなめらか。別名【ビナンカズラ(美男葛)】話題にする時には別名を使うことが多い。古くは茎などから得られる粘液を整髪料などに用いられたことによる。冬芽は、長さ3〜7㎜の長卵形。芽鱗が多い。
マツブサ科 サネカズラ属
果実の状態のものは何回も出会い写真もたくさん残っているが、花の状態の写真が1枚もない。多分、出会っているが見逃しているのだろうと思う。
北アメリカ原産で各地に帰化している。イヌホオズキに似ているが、茎が細く、しばしば多くの枝を分けて横に広がるが、花枝に付く花柄が1ヶ所から枝分かれするのが最大の特徴である。葉もふつう幅が狭くて薄い。花は径2〜5㎜で淡紫色または白色。液果はやや小さく、光沢のある黒色に熟す。
ナス科 ナス属
花期は7〜9月、暖地では遅くまで咲く。
ヤナギ科 クスドイゲ属
イイギリ科 → ヤナギ科
海岸沿いの山地に生える常緑樹。高さ3~5mの低木状のものが多いが、大きいものは高さ15mになる。とげが多く、生垣にもよく植えられる。
ウリ科 スズメウリ属
原野や水辺に生える。葉は長さ3〜6㎝の三角状卵心形で、しばしば浅く3裂する。花期は8〜9月。雌雄同株。雌花、雄花ともに葉腋に単生するが、枝先では時に雄花が総状に付くこともある。花は径6㎜で深く5裂し、雌花は下部の子房が目立つ。果実は径1〜2㎝の球~卵形で、熟すと灰白色になる。
本州兵庫県以西、四国、九州の瀬戸内海と太平洋沿岸近くの山野などに自生する。草丈は50㎝。よく枝分かれをして群落を形成。茎の基部は倒れて、上部が斜上することが多く、傾斜地などでは懸崖状になる。葉は互生し、長さ3-5㎝の広卵形。基部はふつう心形、時に切形。5または3中裂して鋸歯がある。葉柄は1.5~3㎝。裏面にT字状の毛が密に生えており灰白色。短日植物で、花期は10末~12初月。径3-5㎝の頭状花を付け、白色の舌状花と黄色の筒状花を持つ。舌状花の形や数は、個体差が見られる。咲き終わりには舌状花は赤みを帯びる。総苞片は3列に並び、外片は短く円頭。痩果はやや円柱形で長さ1.8㎜。種子は春に発芽し、越冬した茎からは新芽が出て大株になる。
キク科 キク属
リュウノウギクやシマカンギクなどと形態が良く似ており、ノジギクはリュウノウギクとシマカンギクの交雑種ではないかという研究がある。また、シマカンギクと交雑することが確認されており、遺伝子汚染が危惧されている。
キク科 キク属
近畿地方以西〜九州。山麓の日当たりのよい所に生える。地下茎が横に伸び、茎の下部は地に接し、上部は立ち上がって、高さ30〜80㎝になる。葉は互生。長さは3〜5㎝の広卵形で5中裂。裏面には丁字状毛があり淡緑色。葉柄の基部に葉状の仮托葉が目立つ。花期は10~12月。頭花は黄色で径2.5cm。枝先に数個付く。総苞片は4列に並び、外片は長楕円形〜卵形。果実は痩果。別名【アブラギク】、【ハマカンギク】
マメ科 タンキリマメ属
蔓性多年草。千葉県以西の海岸や平地、低山地の草原、林縁などで見られ、長さ2m以上に達する。小葉は菱状倒卵〜広倒卵形で、円頭、鈍頭あるいは鋭頭。頂小葉は側小葉よりもわずかに大きい。花期は7~10月。花序は基部の葉よりも短く、短柄があり、5〜20の花を付け、長さ2〜4㎝、花後に伸び、果時には4〜8㎝になる。花は黄色で、長さ8〜10㎜。萼は短軟毛をやや密生し、長さ6〜8㎜、腺点があり、下部の萼裂片3個は狭卵形で鋭尖頭、萼筒より長い。豆果は扁平な長楕円形で、2〜4㎜の柄がある。果実は紅熟し、黒色で光沢のある種子を2個入れる。種子は長さ4~5㎜の楕円体。よく似たトキリマメは葉の下半部の幅が広い。
関東南部以西〜沖縄の林縁に生える。落葉つる性木本。高さ10mで、径3㎝になる。樹皮は緑色でなめらか。葉は互生。葉身は長さ6〜10㎝で、切れ込みのない広卵形から、5〜7裂するものまで変化が多い。基部は心形〜切形。質は薄い革質で、乾くと黒褐色になる。葉柄は長さ5〜10㎝と長い。花期は7月。雌雄別株ときに同株。枝先や葉腋から長さ10〜20㎝の円錐花序を出し、淡緑色の小さな花を付ける。花弁と萼片は6個。雄花の雄しべは9〜12個。雌花の花柱は3個。果実は核果。長さ6〜7㎜、黒色に熟す。
ツヅラフジ科 ツヅラフジ属
別名【オオツヅラフジ】。冬芽の基部は枝に埋もれ、葉痕から少し離れてつく。よく似たコウモリカズラは葉柄が楯状に付き、アオツヅラフジは葉柄が短く毛が多いこと等から区別できる。
ナス科 クコ属
全国。平地に分布する。湿り気のある水辺の砂地を好む。栽培もされる。落葉低木で、枝はよく分岐し、地上部は弓状にしなって垂れ下がり、やぶ状になる。3~4月に芽吹き、枝に2~4㎝の葉と1~2㎝の刺が互生する。葉はやや先が尖った楕円形で、数枚が集まるように枝から出る。葉は長さ2~4㎝の倒披針形か長楕円形の全縁で、束生して数個が集まる。葉質は厚く、軟らかで無毛。葉の付け根には、しばしばとげ状の小枝が生える。花期は7~11月で、葉腋から1~4個の細い花柄を出し、径1㎝ほどの小さな薄紫色の花が咲く。花は鐘形で、花冠は5裂する。花から5本の長い雄しべが出て、目立つ。果実は液果で、9月ころに結実し、径1~2.5㎝の楕円形で、橙紅色に熟す。葉や果実は食用になり、挿し木や株分けで繁殖する。
ナデシコ科 ナデシコ属
本州〜九州。海岸の崖や砂地に生育。茎は株状の無毛で下部は木質化し、上部は直立して高さ15〜50㎝。根出葉はロゼットとなり、倒披針形で長さ5〜9㎝。茎葉は対生し厚く光沢がある。葉身は長さ5~9㎝で、長楕円状披針から卵状披針形。葉柄は6〜8㎜、基部でひっついて1.5〜3㎜の筒となり、質厚く両面無毛で、ふちに縁毛がある。花期は6~11月。花は茎の頂上に多数が密に集まって、集散花序となる。苞は3対、長楕円形で先に5〜6㎜の草質の尾が付く。萼は長さ19〜21㎜、花弁は紅紫色で長さ6~7㎜の倒三角形。先は歯牙縁。さく果は萼筒より少し長い。種子は黒色1.5〜2㎜。
北海道南部〜沖縄の海岸付近の林内や林縁。暖地に多い。高さは2〜6m。こんもりと茂り全株無毛。樹皮は暗褐色。縦に浅い溝がある。本年枝は緑色で丸い。葉は対生、まれに互生。葉身は長さ5〜11㎝の楕円形。縁には、基部付近を除き浅い鋸歯があり、葉表は濃緑色で光沢がある。質は厚く、両面とも無毛。葉柄は長さ1㎝。
花期は6~7月。葉腋から集散花序を出し、黄緑または淡緑色の花を7〜15個付ける。花は径7㎜。花弁、萼片、雄しべは4個。果実は蒴果。径6〜8㎜の球形で、11〜1月に紅色に熟し、4裂する。種子は橙赤色の仮種皮に包まれ、落ちずにぶら下がる。
ニシキギ科 ニシキギ属
未
冬芽は、長卵形。芽鱗は6〜10個、十字対生状に並ぶ。
果実は熟すと3裂し、赤い粘液が付着した種子を多数露出し、これが鳥のくちばしなどに粘着して運ばれる。
本州以西に分布。海岸や川岸の砂地に生育。花を付けないで先にロゼット状に葉を叢生(そうせい)させる短茎と、花を付ける長い花茎がある。短茎の葉は長さ2~3㎝の葉柄があり、葉身は2回羽状に全裂し、裂片の幅は0.3~2㎜と糸状になる。葉の両面に密に灰白色の絹毛が生え、全体に白っぽく見えるが、ときにやや無毛となる。花茎は高さ30~100㎝になりよく分枝する。
キク科 ヨモギ属
花茎につく葉は、長さ1.5~3㎝で1~2回羽状に全裂し、裂片の幅は0.3㎜と細く糸状。ふつう無毛、ときに両面に絹毛。花期は9~10月。頭花は大きな円錐花序に多数、密に付ける。頭花は長さ1.5~2㎜の球形または卵形で、舌状花がなく筒状花のみで構成される。総苞片は3~4列に並び、外片は小さく卵形になる。果実は痩果で、長さ0.8㎜の長楕円形さは0.8mmになる。
関東地方以西の海岸や沿海地や丘陵の林内や林縁、崖の淵など。ほかの樹木に寄りかかるようにして長くのび、高さ2〜3mになる。樹皮は灰黒色。丸い皮目があり、縦に細長い浅い割れ目が出来る。枝は鈍い稜があり、赤褐色の鱗状毛が密生する。小枝は下向きに伸び、これで他の樹木に絡み付く。葉は互生。葉身は長さ4〜8cmの長楕円~卵状長楕円形。表面には初め銀色の鱗状毛があるが、後に落ちて無毛になる。
裏面はふつう赤褐色の鱗状毛が密生するが、時に銀色の鱗状毛が密生し、赤褐色の鱗状毛がまじるものがある。花期は10〜11月。幹が太くなり、他の木に高く登ってから花を付ける。(若い木は花が咲かない)葉腋に淡褐色の花が数個垂れ下がって付く。萼筒は細く、長さ4〜6㎜、基部に向かって次第に細くなる。萼筒と萼片の外面には赤褐色の鱗状毛が密生する。花柄は長さ3〜7㎜、赤褐色の鱗状毛がある。
グミ科 グミ属
果実は偽果。長さ1.5㎝の長楕円形で、4月に赤く熟す。蔓性のものは、ツルグミの他オオバグミがある。
その他、ハゼノキ、クサイチゴ、クズに出会ったが適当な写真が撮れず掲載していない。また、予定していたヤブニッケイ、タブノキ、モッコクには出会えたのかどうかも分からないままになってしまった。