下帝釈峡の植物
~神龍湖を歩く~
3月 ヒメカンスゲが咲く頃
2021.03.10
表紙絵 ヒメカンスゲ
アブラナ科 ヤマハタザオ属
03.10-2021
スズシロソウは咲いていると思っていた。どれも咲きだちで、どの花を見ても生き生きしていてきれい。小さな飾り房のようでかわいい。
キンポウゲ科 ミスミソウ属
03.10-2021
開花には少し早いかなと思っていた。この近隣にだけ3株ほど咲いていた。陽当たりのよい法面のやや高所、遠望してなんとかピントがあったのはこれ1枚。
花期からいうと早くに開花したようだ。石灰岩地に生え、➀葉は卵状の心形、➁出始めの葉は両端が表面に巻く、➂距は7㎜ほどで白色、などの特徴が見られる。これから何度も出会える。楽しみ。
ウコギ科 キヅタ属参考 ☜
03.10-2021
伸びる勢いは強い。絡むものがなければ、伸びては倒れ、倒れては伸びを繰り返して団子状になつている。
スイカズラ科 スイカズラ属
03.10-2021
冬芽(新芽)を撮っておこうとシャッターを切ったが、こりじゃ何のことか分からない。(身を乗り出して)
➀根生葉は心形だが茎葉が細長くなる、➁托葉がタチツボスミレより切れ込みが鋭い
本州の岡山県と広島県に分布。山地の林下に生育する。草丈は30~60㎝。ヒガンマムシグサの亜種で、葉は2個、小葉は鳥足状に5~7個付く。小葉は狭楕円~楕円形で、花後倒卵形になる。縁は鋸歯があるか全縁。花期は3末~4、5月。仏炎苞は紫色で、筒部から舷部の下側まで多数の白条がある。舷部は筒部より短く、口辺部はあまり開出しない。付属体は棒状で径2~4㎜。
(1)サトイモ科テンナンショウ属のナガバマムシグサ群(ヒガンマムシグサ群という場合もある)には、➀ハリママムシグサ、➁タカハシテンナンショウ、➂ヒガンマムシグサ、➃ミミガタテンナンショウ、➄ナガバマムシグサ、⑥ウワジマテンナンショウの六種があって、どれも酷似し花期が3末~4、5月で他のテンナンショウ属より早く、花は葉より早くに展開するという共通点があるものの、互いに分布域をはっきりと分けている。
(2)近畿地方から中国地方の東部には分布しないヒガンマムシグサは、山口県と広島県西部の限られた地域に隔離分布している。つまり、広島県東部で見られるヒガンマムシ群はタカハシテンナンショウである。
花期は4~5月。よく咲いていた。盛期はこれからなので、出会いを楽しむことができる。
花期は3~4月と早くに咲く。先端は雄小穂でやや太い楕円形。その下に離れて数個の雌小穂が(↑)出る。よくよく見ないと見逃してしまう。花茎先端の雄小穂は葯が多数突き出てやや黄色が強く、細長くて大きく黄色い房のように見え、小柄ながらも他のスゲ類よりよく目立つ。
イカリソウは種類が多く交雑種もあるので、同定は難しい。
03.10-2021
チャセンシダ科 チャセンシダ属
03.10-2021
ほとんどの場合石灰岩かその礫を含んだ岩に着生する。
シュウカイドウ科 シュウカイドウ属
03.10-2021
江戸時代初期の帰化植物。花後、こげ茶の羽が3枚ある楕円形の果実を付ける。
花期は4月。葉は互生。葉が今頃までも残ってよく目立つ。新葉が展開するのと同時に短い花柄を伸ばし、淡黄色の小さな花を付ける。これが目立たないのか、今まで確認したことがない。見ても同定出来なかったのかもしれない。
葉は長さ2~3㎝の線形で断面は扁平。表面が膨らみ、先端は鋭く尖っており、触れると痛い。葉の表面は濃緑色で光沢があり革質で硬く枝に螺旋状に付く。
葉の裏面は淡緑色で、2本の気孔帯と呼ばれる白い線がある。
カタクリ(片栗)だが、まだまだです。花期は4~6月。楽しみです。
アザミ属の幼苗。今まで〝ヨシノアザミ〟と言われていたものから〝イズモアザミ〟を分化させたり、〝ビッチュウアザミ〟も〝ゲイホクアザミ〟と分けたりで、もう訳がわからなくなる。それでも、それぞれの違いを楽しみながら観察しよう。03.10-2021
個体数は多い。花期は4~7月。まだほとんどがこんな状態。
雌雄異株。雄花序、雌花序ともやや総状に見える穂状花序となり花は間を置いて付く。➀雌花序では花数が少ない。➁雄花では、花被は膜質で敷き石状に配列し、➂蕾では萼全体で球形となり、➃開花すると3裂する。雄蕊は10-30本ある。写真はいずれも雄花と思われる。
ヒガンバナ科 ヒガンバナ属
03.10-2021
他の植物が芽吹く前に葉を広げて球根を太らせる。ヒガンバナ科の戦略。
スイカズラ科 カノコソウ属
03.10-2021
花期は4~5月。花茎が伸びきる頃に地面の上に長い蔓枝を四方に出して繁殖する
花穂は1つの株から多数が出る。葉より高くは伸びず、葉の間から姿を見せる。先端には褐色で細長い紡錘形の雄小穂がつく。その下の花茎からは数個の雌小穂が出る。雌小穂は細長い棒状で、下の方のものにははっきりした柄があり、上を向いてやや立つ。雌小穂の基部には苞があるが、鞘の先の葉状部は針状になっている。雌小穂は、鱗片、果胞共に淡い色なので、黄色っぽく、あるいは白っぽく見える。
カヤツリグサ科 スゲ属
03.10-2021
ヒメカンスゲと酷似する。こちらは全体にやや大型で葉の幅が広く、花期は4~5月と少し遅い。写真は全開前。他の花の少ないこの時期、スゲ属に出会うのは嬉しいこと。
葉は花が付く枝に1対、花の付かない枝に1~5対、対生する。雌雄異株。花期は5月。長さ5~10㎝の総状花序を枝の先端から下垂させる。花は淡黄色。雄花序は花が15個内外付き、雌花序は花が3~7個付く。冬芽は長さ5~10㎜になる卵形で、先端は尖り、紫紅色。鱗片は8~12対あり、瓦重ね状に並ぶ。
花序は径2~3㎝で6~10個の花を密に付ける。花径4~5㎜で4枚の萼列片は淡緑色。倒卵形で平開し、長さ約1㎜、花後に直立する。雄しべは4~8個あってごく短く、裂開前の葯は黄色い。葉身は円腎形。
キク科 フキ属
03.10-2021
雌雄異株。雄株は黄白色の頭花を多数付ける。やや黄色っぽく、すべて両性の筒状花だが結実しない。(写真は雄株?)
雌株は密に頭花を付けるが、のちに高さ45cmくらいにのびる。頭花は白っぽい。細い糸状の多数の雌花のなかに雄花と同じ形の両性花が数個まじる。この両性花は花粉ができない。雌花の花柱は糸状。花期は3~5月。
日本原産で、山地の渓流や湿地で生育するが、当地はさほど湿っている場所でもない。春に4弁の白い小花を咲かせる。根茎や葉は食用にする。